松井須磨子が歌った「いのち短し恋せよ乙女」 - 1914年(大正3年)

松井須磨子が歌った「いのち短し恋せよ乙女」 – 1914年(大正3年)

松井須磨子(まつい・すまこ)は、新劇の女優でした。

松井須磨子この年、帝国劇場で上演された芝居「復活」(トルストイ原作)のなかで歌った「カチューシャの唄」が大ヒットします。

レコード2万枚が売れ、カチューシャ櫛が大流行したのです。以後、「いのち短し恋せよ乙女」で知られる「ゴンドラの唄」など、須磨子が歌う多くの劇中歌はヒットを重ねました。

須磨子は、旧松本藩士族の家に生まれました。最初の結婚は、病弱な彼女を舅が嫌がって数カ月で離婚してしまいます。入院先で知り合った前沢誠助と再婚することになったのです。

東京俳優養成所で、日本史の講師になった前沢の影響で、須磨子は芝居に目覚めます。坪内逍遥主宰の、文芸協会付属演劇研究所の第1期生になりました。

隆鼻手術で整形し、家事を放棄してのめり込み、またしても離婚の憂き目にあいます。

1911年の「人形の家」(イプセン作)でノラを好演し、新劇女優として初のスターとなりました。ノラの役は「新しい女」の代名詞となり、婦人解放運動を進める役割を果たすこととなります。

一方で、舞台での大胆なラブシーンや、師の島村抱月との不倫スキャンダルで、「道徳に反する淫らな女優」との悪評がついてまわるようになりました。

やがて文芸協会を退会し、抱月とともに「芸術座」を創設し、同棲しますが、抱月が急死してしまい、2カ月後、後を追って自殺しました。

長野県生まれ(1886~1919年)。

1914年の主な出来事。

■事件/桜島大噴火。秋田大地震。岩手県大山火事。日本郵船徳島丸パナマ運河初通過。江ノ島大津波。福岡県方城炭鉱爆発。「新思潮」、「平民新聞」発禁

■世相/大正博覧会。国産奨励運動起る。鳴尾競馬場で民間飛行大会。北浜銀行取付。全国にカチューシャ熱。三越にエスカレーター。三菱21号館竣工(近代的貸事務所のはじめ)。山田大尉飛行機上昇世界記録8250尺

■企業/東洋紡績(大阪、三重紡績合併)、日魯漁業、伊藤忠合名会社設立

■軍事/3年式重機関銃制定。水上機母艦「若宮」完成

■文化/猪苗代水力発電所、東京へ送電開始。哲学・評論の流行。東京教育博物館開設

■科学技術/化学工業調査会設置。土木学会創立。三井鉱山三池工場、アリザリン染料市販

■厚生/日本法医学会創立

■女性/読売新聞「婦人付録」新設、「身上相談」掲載

■文芸/森姐外「大塩平八郎」。夏目漱石「こゝろ」。高村光太郎「道程」

■美術/二科会、文展から独立。横山大観ら文展を脱退し日本美術院再興

■音楽/帝劇、山田耕筰の管絃楽作品発表会。宝塚少女歌劇初公演。ミドニゼッティ「連隊の娘」抄訳上演

■芸能/芸術座「復活」。坪内逍遥「お夏狂乱」帝劇初演

■映画/天活(天然色活動写真株式会社)創立。日本初のレコード式発声映画「末広」「本朝二十四孝」。初の天然色映画「義経千本桜」。「カチューシャの唄」

■スポーツ/第1回水上選手権

■出版/「へちまの花」「新思潮」(第3次)「平民新聞」「少年倶楽部」創刊。内藤湖南「支那論」。阿部次郎「三太郎の日記」。「アカギ叢書」出版

■流行歌/カチューシャの唄。おえどこぶし。一かけ節。新みやこ節。マックロ節。女心の唄。ゴンドラの唄。故郷。四季の雨。児島高徳。故郷を離るる歌

■流行語/鰻香内閣。廃税。

1914年はどんな時代であったのか。

国会開会中の1月に、海軍将官がドイツ・シーメンス兵器会社から収賄した「シーメンス事件」が発覚します。山本内閣は3月総辞職、大隈重信が後を継ぎました。

7月にはヨーロッパで第1次大戦が勃発し、8月、政府は日英同盟を理由に参戦を決定します。対独宣戦を行いました。

陸軍は渤海湾に上陸し、青島を占領し、海軍は南洋諸島を占領しました。

12月、多数を占める政友会と立憲国民党が2個師団増設に反対、増師予算が否決されたため、政府は衆議院を解散しました。

1914年(大正3年)

青島要塞陥落を伝えた1914年11月8日の記事

青島要塞陥落を伝えた1914年11月8日の記事

1.5 愛鷹丸、駿河湾で風浪のため沈没、死者121人

1.7 間島で朝鮮人の暴動起きる

1.8 東北関係代議士ら、東北凶作地救済会組織

1.10 袁世凱、国会議員の職務を停止、国会を解散。独裁体制へ

1.21 シーメンス事件(海軍収賄)暴露

1.23 衆議院予算委員会で島田三郎、シーメンス事件で斎藤実海相を糾弾

1.31 全国商業会議所連合会、営業税全廃決議

2.1 シーメンス事件に関する内閣弾劾大演説会開催

2.5 憲政擁護大会、築地精養軒で開催。薩閥根絶、海軍粛清を決議

2.10 同志会・国民党・中正会3派、衆議院で政府弾劾決議案を上程するが、205対164で否決。内閣弾劾の国民大会を日比谷公園で開催、騒擾化して軍隊出動

2.14 廃税問題国民大会、日比谷公園で開催

2.16 政府、シーメンス事件の全貌を発表

2.16 衆議院、営業税全廃案を否決

2.17 衆議院、織物消費税・通行税・石油消費税各廃止法案を否決

2.18 ヴィッカース事件(海軍疑惑)暴露

3.6 第1~3回(8日・15日)全国記者連合会主催の内閣弾劾大演説会

3.13 貴族院本会議、海軍拡張案の新規製艦費4000万円全額削減

3.23 同志会・国民党・中正会3派、内閣弾劾上奏書を衆議院に提出

3.23 貴族院、海軍拡張費削減案を固執して予算案不成立。議会3日間停会

3.24 山本権兵衛内閣総辞職

3.29 貴族院議長・徳川家達に組閣の大命。30日辞退

3.31 清浦奎吾に内閣組織の大命。4月7日海相候補難で辞退

3.31 売薬法公布(4月1日施行、売薬規則廃止)、寄留法公布(10月1日施行)

3.31 地租条例改正(0.2%引き下げ4.5%へ、1915年4月1日施行)

4.2 政友会・国民党、超然内閣反対を決議

4.11 昭憲皇太后(明治天皇皇后)死去

4.16 第2次大隈重信内閣成立

4.26 海軍制度調査委員会設置

5.1 中華民国約法公布、袁世凱大総統の権限強化

5.5 第32回臨時帝国議会開会(7日まで)

5.10 朝鮮不動産登記令・朝鮮永代借地権に関する件公布(即日施行)

5.11 海軍大異動発表、海軍大将・山本権兵衛と斎藤実を予備役に編入

5.15 蔵相・若槻礼次郎、非募債方針声明

5.24 東京代々木葬場殿で昭憲皇太后大喪の儀

5.25 福田狂二ら、日本労働党を結成(6月15日結社禁止)

5.26 英下院、アイルランド自治法修正案可決、6月23日上院も可決

5.29 シーメンス事件軍法会議で、海軍中将・松本和らに有罪判決

6.7 部落改善運動の帝国公道会設立

6.18 原敬、政友会総裁に就任

6.20 東京モスリン紡織1000余人解雇、残留者3割賃下げに反対スト、28日労働組合「工友会」結成、弾圧で敗北

6.22 第33回臨時帝国議会開会(28日まで)

6.23 防務会議規則公布、国防・増師問題を審議

6.28 オーストリア皇太子夫妻、ボスニアの首都サラエボでセルビア人青年に暗殺される(サラエボ事件、第1次世界大戦の発端)

6.29 取引所令公布(9月1日施行)

7.8 孫文、東京で中華革命党を組織

7.28 オーストリア、セルビアに宣戦布告。第1次世界大戦勃発

7.31 仏社会主義指導者・ジャン・ジョレス暗殺される

8.1 ドイツ、ロシアに宣戦布告

8.1 第7次紡績操業短縮実施

8.2 イタリア、局外中立宣言

8.3 ドイツ、フランスに宣戦布告

8.3 諸株式大暴落

8.4 地主有志、地租軽減運動加入の勧誘状を全国に送る、17日運動中止

8.4 英国がドイツに宣戦布告

8.4 米国、局外中立を宣言

8.6 オーストリア、ロシアに宣戦布告

8.6 中華民国、局外中立を宣言

8.6 各国社会党、戦争支持に転向し、第2インターナショナル崩壊

8.7 英国、日本の対独参戦を要請

8.8 元老大臣会議、対独参戦を決定

8.8 ドイツ・オーストリア両国との電報通信が途絶

8.12 英・仏、オーストリアに宣戦布告

8.15 パナマ運河開通

8.16 対独最後通牒を発出(回答期を8月23日正午と限定)

8.20 ドイツ軍、ブリュッセル(ベルギー)を占領

8.23 日本、対独宣戦布告(第1次世界大戦に参戦)

8.25 大日本商工協会、廃税運動中止

8.25 オーストリア、日本に宣戦布告

9.2 日本陸戦隊、山東省竜口に上陸開始

9.4 第34回臨時帝国議会開会(10日まで)

9.6 名古屋電気鉄道運賃値下げ要求の市民大会、5万人参加し騒擾化、軍隊出動

9.9 生糸相場暴落、1900年来の安値

9.10 臨時軍事費特別会計法公布

9.12 戦時海上保険補償法・同施行規則公布(即日施行)

9.14 西日本から関東にかけ台風の被害甚大、豊後水道で漁船127隻行方不明となる

9.15 政府、財界救済計画を発表

9.18 工業原料品の輸出制限を実施

9.28 日本海軍、膠州湾砲撃開始

10.6 政務官官制公布、各省に参政官・副参政官を新設

10.7 貿易業者大会、南洋・中国・インドに商権拡張決議

10.9 台湾で高砂族が蜂起、警官ら22人を殺害

10.10 ベルギー政府、仏国ルアーブルに移庁

10.14 日本、赤道以北のドイツ領南洋諸島を占領

10.28 大隈重信首相、貴衆両院議員に防務会議で2個師団増設、戦艦3隻・駆逐艦8隻・潜水艇2隻建造計画決定を説明

10.29 早慶明3大学野球リーグ誕生

10.31 青島攻囲軍(司令官陸軍中将・神尾光臣)総攻撃開始

11.5 英・仏、トルコに宣戦布告しキプロス併合

11.7 日本軍、青島・膠州鉄道全線を占領

11.9 ドイツ巡洋艦エムデン号、南洋英領ココス群島で英艦に砲撃され沈没(インド洋・太平洋安全となる)

11.12 トルコ、英・仏・露に宣戦布告

11.16 青島攻囲軍、青島入城式(19日軍政施行発布)

11.30 艦隊令制定(即日施行、12月10日艦隊条例廃止)

12.3 加藤高明外相、日置駐華公使に山東省問題など21カ条の対華要求訓令

12.7 第35回帝国議会開会

12.8 英国艦隊、フォークランド島沖でドイツ艦隊を撃破

12.18 東京駅竣工(設計・辰野金吾)、東京-横浜間電車運転、20日から汽車発着、烏森駅を新橋駅、旧新橋駅を汐留駅と改称

12.20 政友・国民両党の有志、増師反対演説会を開催

12.24 ドイツ飛行船、英国爆撃を開始

12.25 衆議院本会議、2個師団増設費予算を否決し議会解散

文化はどんどん進んでいきますが、日本人の意識がそれに追いついていかず、世相はどうにも、ちぐはぐな印象を拭えません。

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