孫文は革命の申し子 - 1925年(大正14年)

孫文は革命の申し子 – 1925年(大正14年)

孫文(そん・ぶん)は、中国革命の指導者でありました。

孫文「革命いまだ成らず」という言葉を残し、この年3月に北京で病死します。

孫文は貧しい農家に生まれました。12歳のとき、出稼ぎで成功した兄を頼ってハワイへ向かいます。帰国後、香港で西洋医学を学び開業しますが、革命を志します。

日清戦争が起きた1894年、華僑を中心にハワイで革命結社・興中会を結成しました。翌年、広州で蜂起しましたが、失敗して亡命します。以後、17年間にわたり武装蜂起を繰り返し、軍資金集めのために世界を遊説して共和国建国の理念を訴え続けました。

1905年に東京で革命諸勢力を結集して中国革命同盟会を組織し、三民主義を唱えます。11年の辛亥革命によって、中華民国臨時大総統に就任しました。ですが、袁世凱に追われて再び亡命を余儀なくされます。

その後も革命運動を続け、24年に国共合作を実施しました。この間、糟糠の妻と離縁し、孫の英文秘書で27歳年下の宋慶齢と周囲の猛反対を押し切って再婚します。

つつましい暮らしぶりで知られていましたが本だけには金を使い、交通問題から服飾デザインまで幅広く集めていました。

中国広東省生まれ(1866~1925年)。

1925年はどんな時代であったのか。

■事件/怪盗ピス健事件。朝鮮京城大洪水。地中海沈没八阪丸の金塊100万円引き揚げに成功。東京地方大豪雨。九大疑獄事件。古田大次郎死刑

■世相/東京市電、初めて女車掌採用。柳島帝大セツルメント労働学校開設。高田商会破産。コレラ発生で東京湾の漁業禁止

■企業/住友信託設立

■軍事/機械化軍隊の研究開始

■文化/大阪-上海間の郵便飛行開始。東京・山手線複線化。東京-国府津間、大船-横須賀間鉄道電化。日本青年館開館

■宗教/東亜仏教大会開催

■科学技術/東大地震研究所設置。日本地理学会、日本生化学会創立

■女性/共立女子専門学校認可。東京婦人美容協会創立。山川菊栄「婦人問題と婦人運動」

■文芸/水上滝太郎「大阪の宿」。大佛次郎「鞍馬天狗」。梶井基次郎「檸檬」

■音楽/山田耕筰、日本交響楽協会結成。浅草オペラ滅亡

■芸能/新橋演舞場完成

■映画/「月形半平太」。「日輪」。「街の手品師」。「荒木又右衛門」(尾上松之助1000本記念映画)。映画検閲規則公布

■スポーツ/全日本陸上競技連盟・全日本スキー連盟創立

■新聞/「無産者新聞」創刊

■出版/「キング」、「家の光」、「映画評論」、「理科年表」創刊。大山郁夫「現代日本の政治過程」。尾佐竹猛「維新前後に於ける立憲思想」。細井和喜蔵「女工哀史」

■流行歌/ハート・ソング。待ちぼうけ。雨降りお月さん。あの町この町。証城寺の狸囃子。この道。アメフリ

■流行語/軍教。円タク。ルパシカ。トロツキスト。

1925年の主な出来事。

加藤首相は普選の実現などの4大政綱を宣言します。

普選法政府案は枢密院、貴族院の修正を受け成立しました。同時に治安維持法を制定、社会主義・共産主義などへの弾圧法規とします。

8月、加藤を首班とする憲政会の単独内閣が成立、これに対抗して政友会・政友本党が提携しました。

反体制運動は、普選法の成立で全国的無産政党の樹立が急務となり、農民労働党が結成されましたが、即日禁止となりました。

日ソ基本条約調印で日ソは国交を回復、他方、中国では5・30事件を契機に各地に排日運動が高まりました。

1925年(大正14年)

「3悪法」反対のデモについてを伝えた1925年2月12日の記事

「3悪法」反対のデモについてを伝えた1925年2月12日の記事

1.3 イタリアのムソリーニ、議会で独裁宣言

1.16 内務省社会局立案の労働争議調停法案発表

1.17 ソ連、陸海軍委員長トロツキーを罷免

1.18 群馬県世良田村で2000人が被差別部落を襲う

1.20 日ソ基本条約、北京で調印(2月25日批准、27日公布)

1.22 加藤高明首相、施政方針演説で普選断行・行財政の根本整理・綱紀粛正・貴族院改革の4大政綱を言明

1.24 警視庁、軍事教育反対の学生デモ(東京)を禁止

1.- 上海で佐野学ら日本共産党再組織方針決議(上海テーゼ作成)

2.11 治安維持法・争議調停法・組合法の「3悪法」反対のデモ、各地に展開

2.12 上海で日本人経営の紡績工場スト(5月14日第2次スト) 

2.12 革新倶楽部代議士会、治安維持法案の議会提出反対を決議

2.13 普選断行民衆大会、東京で開催

2.19 政府、治安維持法案を衆議院に提出、3月7日衆議院修正可決、19日貴族院可決、4月22日公布、5月12日施行

2.21 政府、普通選挙法案を衆議院に提出、3月2日可決、26日貴族院修正可決、29日両院協議会可決、5月5日公布

2.22 国技館で普選と貴族院改革断行の国民大会開催

3.1 初の放送電波、東京高等工芸学校から発信。以後、東京・大阪・名古屋の各放送局が放送開始。1926年8月6日、3放送局が日本放送協会(NHK)を設立

3.10 政府、貴族院改革案を貴族院に提出、3月25日修正可決、5月5日公布

3.12 孫文、北京で死去、58歳

3.16 東京電力株式会社設立

3.27 陸軍、軍縮に伴い4個師団廃止を発表

3.30 大蔵省預金部特別会計法(4月1日施行)、重要輸出品工業組合法(9月1日施行)、輸出組合法(9月1日施行)、染料製造奨励法(10月15日施行)公布

3.- 衆議院正・副議長、党籍離脱の慣行生まれる

4.1 農商務省廃止し、農林・商工両省発足

4.1 全国官公私立中学校に軍事教育を実施

4.4 政友会総裁・高橋是清、引退を声明

4.13 陸軍現役将校学校配属令公布

4.13 政友会総裁に陸軍大将・田中義一

4.16 総同盟第1次分裂(左派が脱退)

4.17 京城で朝鮮共産党結成

4.18 大蔵省、地方銀行の合同、預金協定、減配などを勧奨

4.18 製鉄業調査会、製鉄国策樹立を答申

4.19 青島の日本紡績工場でスト。23日暴動化(5月9日解決)

4.28 陸軍航空本部令、陸軍自動車学校令、陸軍通信学校令公布(5月1日創設)

5.1 宇垣軍縮始まる。陸軍4個師団(高田、豊橋、岡山、久留米)を廃止

5.5 男子普通選挙実現

5.14 革新倶楽部・中正倶楽部、政友会に合同

5.15 日本軍、北樺太からの撤兵完了

5.23 兵庫県豊岡・城崎地方に地震、死者・行方不明428人

5.24 総同盟左派、神戸で日本労働組合評議会結成大会を開催

5.30 5・30事件。上海日本人紡績工場で大ゼネストが暴動化し各地に反帝運動

6.1 上海ゼネストが険悪化し各国の陸戦隊が上陸

6.5 上海の排外運動拡大、戒厳令布告

6.18 在華日本紡績同業会設立

6.26 上海ゼネスト解決、一斉に開市

7.1 広東に国民政府成立(主席・汪兆銘)

7.1~20 国鉄車両の螺旋連結器を自動連結器に取り換え、輸送力が大幅に増強

7.11 東京芝浦製作所職工2500人、スト

7.12 東京放送局(JOAK)、ラジオ本放送開始、聴取者5455人

7.16 学生社会科学連合会全国大会、京都帝国大で開催

7.18 モスクワで日ソ石油利権交渉開始

7.31 内閣不統一で加藤内閣総辞職

8.2 第2次加藤高明憲政会内閣成立

8.5 摂政宮、樺太行啓のため軍艦「長門」で出発(17日横須賀に還啓)

8.10 第1回全国無産政党組織準備協議会、大阪で開催

8.17 日ソ利権会議、本交渉開始

8.18 内務省、労働組合法案発表

8.29 メートルに関する条約公布

9.5 大蔵・海軍両省、軍縮による民間造船業の損失2600万円補償を決定

9.18 帝国議会議事堂全焼

9.20 東京六大学野球が開幕

10.1 第2回国勢調査、人口5973万6822

10.4 大阪で大日本地主協会創立

10.12 朝日新聞社訪欧機「東風」「初風」、ロンドン着(7月25日東京・代々木発)

10.12 独ソ通商条約調印

10.15 京城に朝鮮神社創建

10.19 日ソ鉄道連絡会議、モスクワで開催

10.- S.ハウトスミット(オランダ)とG.ウォーレンベック(オランダ)、電子スピン仮説を提唱

11.19 北京関税会議、中国関税自主権を原則承認

11.22 満州で郭松齢、張作霖に対し謀反

11.29 日本労働総同盟、第3回無産政党綱領規約調査委員会を脱退したため単一無産政党結成計画が挫折

12.1 日本農民労働党結成。書記長・浅沼稲次郎、即日結社禁止

12.1 京都府警察部、社会科学連合会に加入する京大、同志社大などの学生33人検挙(学連事件)

12.1 ロカルノ欧州安全保障条約調印

12.6 日本プロレタリア文芸連盟創立

12.14 石炭および石油に関する北樺太の日ソ利権協約調印

12.15 閣議、郭松齢反乱に備え満州の警備兵増派を決定、即日発令

12.19 大蔵省、銀輸出解禁を決定

12.23 鉄鋼協議会創立

12.24 満州新民屯で郭松齢銃殺

12.26 第51回帝国議会開会

この時代、一見、それほど大きな出来事はありませんでしたが、日本の帝国主義が、誰も知らぬところで徐々に力をつけていたのかもしれません。

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