津田左右吉は天皇支配の正当性に疑問を唱えた - 1940年(昭和15年)

津田左右吉は天皇支配の正当性に疑問を唱えた – 1940年(昭和15年)

津田左右吉(つだ・そうきち)は歴史学者であり、思想史家でもありました。

津田左右吉日本の古代史を、実証的方法で神話の世界から解放したのです。

『古事記』や『日本書紀』の神代説話が天皇支配の正当性を、確立するために作為されたものであることを『神代史の新しい研究』『古事記及び日本書紀の新研究』などを著すことで論証しました。

この年3月、岩波書店の岩波茂雄とともに出版法違反、皇室の尊厳冒涜罪で起訴されます。

津田の研究は、太平洋戦争開戦前夜の日本で展開しつつあった神国史観、ファシズム思想と相いれず、前年の東京帝大における講義をきっかけに、皇室の尊厳を侵すとして糾弾されました。

結局、早稲田大教授を辞任します。

その著書は発禁処分を受け、紙型も押収されていました。1942年に有罪判決を受けましたが、上告して免訴となります。

戦後は一転して『建国の事情と万世一系の思想』で天皇制擁護論を展開し、「変節」「反動」と批判されます。

東洋史学者・白鳥庫吉から大きな影響を受けたようです。06年に白鳥が主宰する満鉄の満鮮地理歴史調査部に参加します。その成果が最初の著作となりました。

岐阜県生まれ(1873~1961年)。

1940年はどんな時代であったのか。

■事件/静岡市大火、6400余戸焼失。外国人スパイ網一斉検挙

■世相/国民服。給料から税金の天引き。報国債券売り出し。東京市内、うどん・そば(もり・かけ)代価10銭と公定。もんぺ

■企業/日本鉄鋼原料統制会社、日本石炭会社設立。造船連合会、兵器工業会設立

■軍事/軍事視察団をドイツに派遣。11号電探試作

■文化/東京勝閧橋(可動橋)開通式。左翼関係出版物一斉発禁、在庫品を押収。さくら国産カラーフィルム発売

■教育/国民体力法公布

■宗教/神祇院(内務省外局)新設。文部省に宗教制度調査会設置

■科学技術/商工省主催工作機械展覧会。螢光ランプ登場

■厚生/日本医学放射線学会創立

■女性/婦選獲得同盟解散。平野婦美子「女教師の記録」

■文芸/日本文学者会結成。織田作之助「夫婦善哉」

■芸能/「河内山宗俊」上演禁止。帝国劇場閉鎖。市川左団次死去、59歳

■映画/「風の又三郎」。「小島の春」。「支那の夜」。「燃ゆる大空」。「西住戦車長伝」。「浪花女」。「歴史」。「蛇姫様」。「或日の干潟」

■スポーツ/戸田漕艇場竣工。第12回オリンピック(東京)、第2次世界大戦のため中止

■出版/日本出版文化協会、日本出版配給会社設立。大蔵省「明治大正財政史」刊行開始。三枝博音「技術史」

■流行歌/暁に祈る。隣組。湖畔の宿。蘇州夜曲。紀元二千六百年

■流行語/新体制。ぜいたくは敵だ。バスに乗り遅れるな。枢軸。一億一心。

1940年の主な出来事。

1月に成立した米内内閣は、南京に汪政権を成立させましたが、親英米外交の行き詰まりをもたらしました。

国内でも戦時経済の矛盾が深刻化しつつあり、難局の打開を目ざして企てられた新体制運動が軍部・官僚・政党の諸勢力を集めて本格的に展開します。その結果、第2次近衛内閣を成立させました。

国内的には政治新体制の推進、対外的には枢軸外交の強化・南方政策遂行の方針を掲げました。

これを契機に政党は解党、大政翼賛会発足で政党政治に、大日本産業報国会の創立で労働運動に、終止符が打たれたのです。

1940年(昭和15年)

日独伊3国同盟結成について伝えた1940年9月28日の記事

日独伊3国同盟結成について伝えた1940年9月28日の記事

1.14 阿部信行内閣総辞職

1.16 海軍大将・米内光政内閣成立

1.21 浅間丸事件。英艦が千葉県野島崎沖で浅間丸を臨検、ドイツ人客21人を拉致

1.26 日米通商航海条約失効、日米間無条約時代に入る

1.26 政府、戦時低物価政策を発表

1.29 大阪・西成線安治川口駅付近でガソリンカーが転覆して出火、死者184人、重軽傷者64人

2.1 陸運統制令、海運統制令公布施行

2.2 民政党・斎藤隆夫、衆議院で戦争政策批判演説を行い、3月7日議員除名される

2.10 マッチの製造配給統制始まる

2.10 電力調整令実施

2.25 陸運統制令施行

3.1 青少年雇入制限令施行

3.8 早稲田大文学部教授・津田左右吉、出版法違反で起訴される

3.9 社会大衆党、斎藤隆夫代議士除名反対の鈴木文治らの離党要求から分裂

3.12 モスクワでソ連・フィンランド和平協定成る

3.12 汪兆銘、上海で和平建国宣言を発表

3.28 内務省、ディック・ミネ、藤原釜足ら芸能人16人に改名指示

3.29 税制の戦時改編。各新税法公布、戦費負担の大幅増税

3.30 中華民国維新政府・臨時政府解消し、汪兆銘の南京国民政府成立

3.30 損害保険国営再保険法公布(5月29日施行)

4.9 ドイツ軍、ノルウェーとデンマークヘ侵攻開始

4.12 石炭配給統制法実施

4.15 政府、蘭印現状維持の必要を声明

4.24 陸軍志願兵令公布

4.26 物価対策審議会、米・みそ・醤油・砂糖・マッチ・木炭など生活必需品に切符制の採用を答申

4.29 全国初の米切符制実施(高知市、1日1人3合)

4.30 神宮皇学館大学設置

4.- サラリーマンの給料から税金の天引きはじまる

5.1 国民優生法公布。7月1日、国立優生結婚相談所開設

5.3 東京市、外米6割混入米を配給

5.10 ドイツ軍、ベルギー・オランダ・ルクセンブルクヘ侵攻

5.10 国民精神総動員本部、戦時食糧報国運動実施要綱決定、週1日節米デー

5.11 英チャーチル新内閣(挙国連立)成立

5.14 ドイツ軍、仏のマジノ線を突破

5.15 オランダ、ドイツに降伏

5.28 ベルギー、ドイツに無条件降伏

5.30 東京米穀商品取引所解散

5.- 物資動員計画編成がえ、政府、主要物資の国内在庫高調査を計画

6.1 横浜・名古屋・京都・神戸で砂糖・マッチの切符制実施。東京・大阪は5日から

6.9 ノモンハン日ソ国境確定交渉成立

6.10 イタリア、英仏に宣戦。ただちに南仏に侵入

6.14 ドイツ軍、パリ入城

6.16 仏ペタン内閣成立、ドイツに降伏申し入れ

6.18 仏ドゴール、英国に「自由フランス」政府樹立

6.20 日本軍、天津の英仏租界の封鎖解除

6.22 文部省、修学旅行の制限を通達。1943年から全面中止

6.22 コンピエーヌで独仏休戦協定調印

6.24 外務次官、ビルマおよび香港経由の蒋介石援護物資輸送停止を英に申し入れ

6.24 近衛文麿が枢密院議長を辞任。挙国政治新体制確立の決意を表明

6.29 有田八郎外相、「国際情勢と帝国の立場」を放送。東亜新秩序確立を説く

7.1 陸軍省、軍需工業適正利潤算定要領実施

7.2 仏政府、ビシーへ移転

7.6 無産政党運動に終止符。社会大衆党が解党大会開催。総同盟中央委員会は自然的解消を決議

7.7 奢侈品等製造販売制限規則実施(ぜいたく品の全面禁止令)

7.8 日本労働総同盟解散。労働組合運動に終止符

7.16 軍の圧力で米内光政内閣総辞職

7.16 政友会久原派解党。30日中島派解党。8月15日民政党解党(政党政治に終止符)

7.21 バルト3国、ソ連邦加入決定

7.22 第2次近衛文麿内閣成立。外相・松岡洋右、陸相・東条英機、海相・吉田善吾

7.25 米大統領、石油・屑鉄を輸出許可制適用品目に追加

8.1 政府、“八紘一宇”の「基本国策要綱」を発表

8.1 国民精神総動員本部「ぜいたくは敵だ」の立て看板1500枚を東京市内に設置

8.1 東京の食堂・料理屋などの米飯を禁止

8.12 内務省・農林省、農村の戦時再編成のため農村報国会設立を推進

8.15 大日本農民組合が解散。農村の戦時再編へ

8.17 閣議、国民生活新体制要綱決定

8.19 新協劇団・新築地劇団の村山知義、千田是也ら100余人検挙。23日両劇団に解散命令

8.20 トロツキー、メキシコ市郊外で暗殺される、60歳

8.20 中国第8路軍40万、抗日出撃開始(百団大戦)

8.26 三井物産、三井合名を合併

8.29 キリスト教各派、純正日本キリスト教会として統合を決定

8.30 北部仏印進駐に関し日仏間で公文交換

9.7 ドイツ空軍のロンドン大空襲始まる

9.9 金強制買い上げ決定、1グラム3円85銭

9.11 部落会・町内会・隣保班・市町村常会整備要綱を各府県に通達

9.23 日本軍、北部インドシナに進駐開始。政府の平和進駐方針を無視し陸軍は武力占領

9.27 日・独・伊3国同盟、ベルリンで成立、調印

10.1 総力戦研究所設置

10.1 第5回国勢調査実施。内地人口7311万4308、外地人口3211万1793

10.5 ドイツ軍、ルーマニア進駐開始

10.12 大政翼賛会発会式、近衛文麿総裁は綱領宣言を発表せず、「臣道実践」だけを説く

10.18 英、ビルマルートによる蒋介石援護物資の輸送再開

10.19 会社経理統制令・銀行等資金運用令・賃金統制令・地代家賃統制令公布(20日施行)

10.28 イタリア、対ギリシャ開戦

10.30 政府、ソ連に不侵略条約締結を提議

10.31 ダンスホール、この日で閉鎖

10.- 16歳以上20歳未満の男子に青年国民登録制実施

11.1 米穀管理規則施行(町村割り当て供出制)

11.2 大日本帝国国民服令公布

11.5 正倉院御物特別展(初の一般公開、東京帝室博物館)

11.6 米ルーズベルト大統領3選

11.10 紀元2600年記念式典(ちょうちん行列など。もち米など特配)

11.20 ハンガリー、日独伊3国同盟加入

11.23 大日本産業報国会創設

11.24 最後の元老・西園寺公望死去、90歳(12月5日国葬)

11.29 帝国議会開設50周年記念式典

11.30 汪兆銘政権と日華間基本条約・共同宣言に調印。正式に汪政権を承認

12.6 内閣情報局設置(情報部を強化拡大)

12.21 近衛内閣改造

12.23 日タイ和親友好条約批准

12.26 第76回帝国議会開会

12.29 米ルーズベルト大統領、「わが国は民主主義国の兵器廠となろう」と演説

日独伊3国同盟が結成されて、これから日本国民は、かつて味わったことのない苦悩を経験します。

ファシズムの波は大きな渦となって、日本列島をも飲み込んだのです。

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