水爆実験の死の灰で被ばくした久保山愛吉 - 1954年(昭和29年)

水爆実験の死の灰で被ばくした久保山愛吉 – 1954年(昭和29年)

久保山愛吉(くぼやま・あいきち)は、ビキニ水爆実験の死の灰で被ばくし、死亡したマグロ漁船無線長です。

久保山愛吉この年3月、太平洋ビキニ環礁付近を第5福竜丸で操業中、米国の水爆実験による死の灰を浴び、他の乗組員22人とともに被ばくしました。

2週間後に静岡・焼津港に帰港します。その2日後に読売新聞のスクープによって、被ばくの実態が明らかになり、日本中が核の恐怖におののきました。

9月に放射能による肝臓障害で死亡し、日本人初の水爆犠牲者となりました。事件は内外に衝撃を与え、原水爆の禁止を求める署名運動が起こる契機ともなったのです。

署名は全国で3200万を超え、1955年の原水禁世界大会へとつながりました。

妻のすずは、夫の遺志を受け継ぎ、原水爆禁止運動に力を注ぎました。生前、陸のにおいがする草花をこよなく愛し、大切に育てたと言います。没後もすずが育てたバラは株分けされ、反核平和の象徴として全国に広がっています。

第5福竜丸は一時、廃船となりましたが、保存運動によって76年に東京・夢の島の展示館によみがえりました。

静岡県生まれ(1914~54年)。

1954年はどんな時代であったのか。

■社会/カーフェリー就航。最初の人間ドック。ヘプバーンカット。三種の神器(電気洗濯機・冷蔵庫・掃除機)。プロレスブーム(力道山に人気)

■文化/伊藤整「女性に関する十二章」「文学入門」。三島由紀夫「潮騒」。光文社「カッパブックス」刊行。新書判ブーム

■流行歌/お富さん。高原列車は行く。岸壁の母

■映画/七人の侍。二十四の瞳。ゴジラ。ローマの休日。波止場。恐怖の報酬

■流行語/死の灰。水爆まぐろ。スポンサー。パートタイム。ロマンスグレー。

1954年の主な出来事。

保全経済会事件、造船疑獄などが相次いで暴露され政局は再び混乱します。とくに造船疑獄で吉田首相が犬養健法相に指揮権を発動させたことは、強い政治不信を生みました。

これが遠因となって自由党新党準備会派、改進党、日本自由党が合同して日本民主党を結成したため、吉田内閣もついに総辞職、第1次鳩山一郎内閣が誕生したのです。

ビキニ水爆実験で第5福竜丸が死の灰を浴びた事件は国民に恐怖をもたらし、空前の原水爆禁止運動を呼び起こしました。

1954年(昭和29年)

1.2 皇居一般参賀者38万人、二重橋上で大混乱。死者16人(二重橋事件)

1.7 アイゼンハワー米大統領が一般教書。武装平和再確認と沖縄無期限保持を表明

1.9 東京都で騒音防止条例を公布

1.11 米国政府が日本航空に東京-サンフランシスコ線、東京-那覇線の開設を認可

1.12 ダレス米国務長官が外交問題評議会で大量報復政策(ニュールック政策)について演説

1.12 奈良県教委と文化財保護委が平城宮跡の発掘調査を開始

1.15 憲法擁護国民連合発会式(議長・片山哲)

1.16 札幌で世界男子スピードスケート選手権大会(日本でのスポーツ初の世界選手権試合)

1.21 米で世界最初の原子力潜水艦ノーチラス号が進水

1.26 警視庁が保全経済会の伊藤斗福理事長ら5人を詐欺で逮捕(保全経済会事件)

2.1 駐日ソ連代表部の2等書記官ラストボロフが行方不明に。8月14日米国亡命と判明

2.1 米国の女優マリリン・モンローが夫のディマジオとともに来日

2.5 警視庁が日本殖産金庫の下ノ村鯵社長らを業務上横領で逮捕(日本殖産金庫事件)

2.8 東京地検が3造船会社を一斉捜索、各社長を収容(造船疑獄の発端)

2.8 全国の23婦人団体代表が売春禁止法期成全国婦人大会開催

2.11 米軍、九十九里浜沖の禁止区域で操業中の漁船約40隻に実弾威嚇射撃

2.19 プロレスの力道山・木村政彦組と米のシャープ兄弟が世界タッグマッチ戦

2.22 政府が教育の政治的中立に関する教育2法案を国会に提出。6月2日、同法公布

2.23 造船疑獄が政界に波及、衆議院が有田二郎・自由党副幹事長の逮捕を期限付きで許諾

2.25 エジプトでナギブ大統領辞任、後任ナセル。27日ナギブ再び大統領に就任、ナセルは首相に

2.25 東京地検が日本交通公社会長・前参院議員の高田寛、鉄道弘済会理事長・西尾寿男らを逮捕(陸運疑獄に発展)

2.26 西ドイツ連邦議会が再軍備のため憲法改正案を可決

3.1 静岡県焼津の第5福竜丸が太平洋ビキニ環礁の米水爆実験で放射能被災(読売新聞のスクープ。ビキニ被災事件)。9月23日無線長・久保山愛吉死亡。水爆による初の犠牲者。これを機に原水爆禁止署名が全国的規模で起きる

3.8 日米相互防衛援助協定(MSA協定)調印。6月9日MSA協定に伴う秘密保護法公布

3.11 防衛庁設置法・自衛隊法を国会に提出

3.12 自由党の憲法調査会発足

3.20 教育2法案採決で衆議院文部委員会大混乱。5月29日修正成立。6月3日公布

3.29 ネール・インド首相が水爆実験禁止を保有国に要請

3.31 磐城など35市が町村合併で新たに誕生、市制ブーム

4.1 衆議院で原子兵器禁止を決議(参議院は4月5日に同様の決議)

4.3 尼崎製鋼所、鉄鋼不況で賃下げなど再建案発表。22日労組スト突入、その後会社がロックアウトと大量解雇を発表、6月2日会社倒産、組合も解散

4.13 米原子力委特別調査委員会が水爆製造反対のオッペンハイマー博士の忠誠調査。5月27日危険人物と認定(オッペンハイマー事件)

4.21 造船疑獄で犬養健法相が検事総長に指揮権を発動し、佐藤栄作・自由党幹事長の逮捕を阻止。22日法相辞職(造船疑獄捜査崩壊)

4.16 NHKテレビが美容体操の放映を開始

4.19 東京都文京区元町小の便所で、2年生の女の子殺される(鏡子ちゃん事件)

4.20 第1回全日本自動車ショーが東京で開会

4.22 全日本労働組合会議結成(全労会議、議長は滝田実)

4.- 小・中学校新入生徒数が前年より約100万人増加(ベビーブームのため)

5.7 ベトナム人民軍がディエンビエンフーを占領、フランス軍司令官降伏

5.15 ビキニ調査船「俊鶻丸」が出航

6.1 52年に起きた東大ポポロ事件被告に東京地裁が「警官の学内調査は違法」と無罪判決

6.2 ソ連で世界最初の原子力発電による送電が開始される(5000キロワット)

6.2 参議院が「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」を採択

6.3 学校給食法公布

6.4 近江絹糸スト(~9月16日)。人権争議

6.10 臨時肥料需給安定法など(肥料2法)公布

6.13 NHKラジオ番組、三木鷄郎の「ユーモア劇場」が最終放送(吉田首相への風刺が多く、中止には政府からの干渉があったのではと話題に)

6.14 元保安隊員の大津健一が保安庁技術研究所員をカービン銃で脅して小切手2000万円を強奪、愛人を連れて逃走。7月21日逮捕

6.17 フランスでマンデス・フランス急進社会党内閣成立。インドシナ戦争の解決を公約

6.25 周恩来・中国首相がインドとビルマを訪問(~30日)。ネール首相、ウ・ヌー首相とそれぞれ平和5原則の共同声明

6.28 ローマの第13回世界体操選手権に日本が初参加。竹本正男(男子徒手)と田中敬子(女子平均台)が優勝

7.1 防衛庁・自衛隊発足

7.1 警察庁・都道府県警察発足(国家地方警察・自治体警察廃止)

7.10 日鋼室蘭労組が解雇反対闘争(~12月30日)

7.20 インドシナ休戦協定に調印。仏がインドシナ3国の完全独立・仏軍の撤退承認の宣言を発表、米国は調印せず。第1次インドシナ戦争終結

8.1 朱徳中国人民解放軍総司令が台湾解放を声明

8.5 国際石油合弁会社代表とイランが新石油協定に調印。1951年以来の英・イラン石油紛争解決

8.8 原水爆禁止署名運動全国協議会が結成される(事務局長・安井郁、4月から年末までの署名は約2000万に)。1955年9月19日、原水爆禁止日本協議会(原水協)に発展

8.31 釧路市桜ケ丘の海底炭鉱で爆発事故、39人が死亡

9.2 小平邦彦・東京大助教授が「数学のノーベル賞」フィールズ賞を受賞

9.3 中国軍が金門・馬祖島への砲撃を開始

9.6 ベニス映画祭で黒沢明監督の「七人の侍」、溝口健二監督の「山椒大夫」が銀獅子賞を受賞

9.8 マニラで8カ国が東南アジア集団防衛条約(SEATO)に調印

9.16 日本中央競馬会発足。25日第1回競馬開催

9.21 閣議、内閣に輸出会議設置を決定

9.26 吉田首相が欧米7カ国訪問に出発。11月10日、日米共同声明

9.26 青函連絡船洞爺丸が台風15号による暴風のため転覆、死者1430人・不明17人(洞爺丸事件)

9.26 北海道岩内町で大火、3200戸焼失

9.29 ブルガーニン・ソ連副首相とフルシチョフ第1書記が北京を訪問し、中ソ首脳会談

10.8 相模湖で定員超過の遊覧船「内郷丸」が転覆、東京・麻布中の修学旅行生22人が水死

10.19 英軍のスエズ基地撤退に関する英・エジプト協定調印、英軍は20カ月以内に撤退と決定

10.23 西側9カ国がパリ協定に調印。西ドイツの主権回復・北大西洋条約機構(NATO)加入など承認

10.28 日中・日ソ国交回復国民会議結成

10.30 日本赤十字社の招きで中国紅十字会代表団(李徳全ら)来日

11.1 アルジェリア解放戦争起こる

11.5 日・ビルマ平和条約・賠償協定調印

11.9 警視庁が東京・御徒町のマーケットを興奮剤密造容疑で急襲(青少年にヒロポン中毒が広がる)

11.14 エジプト革命評議会がナギブ大統領を解任、ナセルが大統領代理に

11.15 全国農業協同組合中央会設立

11.15 木下順二・鶴見和子編の「母の歴史」刊行(このころ、生活を綴る運動がブームに)

11.24 自由党新党準備会派(石橋湛山、岸信介ら)・改進党・日本自由党が合同して日本民主党結成(総裁・鳩山一郎)

11.27 カンボジア、日本政府に対日賠償請求権を放棄すると通告

11.28 富士山の吉田口7合目付近で雪崩、雪の下敷きになった学生15人が死亡

12.7 内閣不信任案上程予定当日、吉田内閣総辞職。吉田は自由党総裁も辞任

12.10 第1次鳩山一郎内閣成立、中ソとの関係改善・憲法改正に意欲(鳩山ブーム)

12.22 憲法第9条について政府統一見解を発表(自衛権保有・自衛隊は合憲)

核の恐怖を日本人は世界で一番、知っているはずです。

水爆実験で被ばく者が出たとこで、国民の核に対する強い気持ちが芽生えました。

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