読むだけでリバウンドしない。 その1

読むだけでリバウンドしない。 その1

読むだけでリバウンドしない方法の最初の記事です。

読むだけでリバウンドしない。 その1

読むだけでリバウンドしない方法
リバウンドしない方法としては、もっとも簡単で効果的なダイエットです。ただし一般的な外からのダイエットとはまるで、違います。読むだけで...
  • 読み方は次に指示があるまで、小説を読むような調子で読んでください。気軽に読み進めてもらえればよいです。

ZOOの入場口で二人分の切符を買った。もちろん支払いはすべて僕のお小遣いである。なのに妹の光はどこまでも感謝しらず、澄ました顔でゲートをくぐっている。

なんてずうずうしいやつなんだ。

平日にしては珍しく、園内は人が多くてZOOはやや混雑気味だった。両脇のチューリップが迷惑そうに首を揺らしている。光のやつはいつもどおり、ダーリンの檻に向かって突進した。それからまた、怪しげな会話を始めだす。

あいつは本当におばかとしか思えなかった。ダーリンが光の存在に気づいているはずなんてなかったし、どう考えても一人上手であることは明らかで、あそこまで思い入れが強いと、人ごとながらも将来が不安になった。

それにしても、ここに来るとおじちゃんの最後の顔を思い出す。

いくら未遂に終わったとはいえ、誘拐の罪は相当、重いだろうし、しばらく刑務所暮らしになるのは避けようがない。

しかもそうなれば、犯罪者となったおじちゃんは即刻ZOOをクビ、だけど遅かれはやかれ辞める運命だったんだから、この件に関してはあきらめもつくはずだ。

それよりも問題なのは、東亜大学研究所へ戻る道も、これで完全に閉ざされてしまったという事実である。

犯罪者を所員に戻してくれるほど、研究所のえらいさんはお人よしではない。

だいたい、えらい人というのは、ママと同じように自分にはどこまでも甘いが、他人には極端なくらい厳しいものなんだ。

だからといって恨んでもだめだ。

どんなにあがいても、事態が好転することなどあり得ない。それよりもまず、犯罪に手を染めた自分自身の行いを悔いるべきだと思う。

とにかく、残念だが今度こそ、おじちゃんの人生は破滅と言ってよく、刑務所から運よく十年くらいで出られたとしても、就職口どころか住む家にさえ困るだろう。

賃貸はあきらめたほうが無難である。身元保証人が必要になるから難しい。

確かママが今のマンションを借りたときも、パパが保証人になってくれたはずで、そんな人はおじちゃんには皆無だろうし、だからやっぱり無理がある。

だけどよくよく考えてみれば、刑務所というところはひどい環境だと言うし、そんなところでおじちゃんが何年も耐えられるはずはなく、学歴よりも犯罪歴のほうが珍重される現実を受け入れることもできずに、二年後くらいに獄中で――。

「やあ、君たち、今日も来たのかい」

僕の予想を裏切って、おじちゃんがいきなり姿を現した。

「無事だったんだね。ほんとによかった」

光がおじちゃんに向かって、何度もジャンプした。

「大丈夫だったさ。卓君が教えてくれたことが役に立ったんだ。研究所で身元の確認が取れたら、警察の人も僕の言うことを信用してくれたよ」

――ひどすぎる。警察のずさんな捜査がこれでもかって言うくらい暴露される結果となった。

この事実から判断すれば、官公庁でさえもやっぱり学歴には弱く、ここにいるおじちゃんはまだくたばったわけではないし、その上僕に感謝までしている。

やっぱり、ママの考え方は正しかった。勉強して優秀な大学に入る必要性をひしひしと感じる午後だった。

「ほんとにありがとね。卓君」

おじちゃんはさわやかな態度で、僕に対してお礼を言った。僕のほうは複雑な思いをかみ殺しながら、頭を左右に振ってほほえみ返し。

そのとき光がずうずうしくも、僕らの話に割り込んできた。

「おじちゃん、ダーリンはね、ちゃんとお話ができるんだよ」

光のやつは相変わらず、うそをつく。

「すごい。光ちゃんはやっぱり天才だ」

おじちゃんは光のそばで大げさにはしゃいでみせる。すると今日もまた、ダーリンが二人のそばに近づいてきたんだから、驚きである。

「そうだったのか、ダーリンは寂しかったんだね」

「そりゃそうよ、誰だってパパと一緒にいたいもの」

どうやら二人して、また危ない会話を始めようとしている。

「卓君、奇跡だよ。光ちゃんがダーリンと会話をしたということは、彼にも知能があるという証明になる」

――ばかばかしい。光の知能でさえ、僕はいまだに信じられずにいるんだ。

「そんなの、光のうそに決まってるじゃないか」

「そうとばかりは、言い切れないさ」

東亜大学を卒業したおじちゃんでさえも、光にはころっとだまされる。勉強をして、優秀な大学に入ることの意味が、僕にはやっぱりわからなくなった。

「はっきり言うけどね、僕は光のやつをずっと観察してきたんだ」

「兄妹なんだから、当然だよね」

「その経験から言えば、光の話はまったくのでたらめ、それどころかこいつの言うことを信じたら、人類はやがて滅亡するよ」

きっぱりと断言してやった。そのほうがおじちゃんのためになると思う。

だけどおじちゃんはまるで取り合おうとはせず、涼しい顔をして、今度はとんでもないことを言いだした。

読むだけでリバウンドしない。 その2
この記事は「読むだけでリバウンドしない方法の原稿」です。その1から順番に読む必要があります。「読むだけでリバウンドしない。 その...

スポンサードリンク

読むだけでリバウンドしない。 その2」へ続きます。

もしこの記事を気に入って頂けましたら、はてなブックマークやツイッター、facebookなどでシェアーをお願い致します。 皆さまのシェアが非常にはげみになります。

tumblrへの投稿